介 護 保 険 最 新 情 報
Vol.610
平成29年10月25日
厚 生 労 働 省 老 健 局 老 人 保 健 課
貴関係諸団体に速やかに送信いただきますよ
う、よろしくお願いいたします。
各都道府県介護保険担当課(室)
各保険者介護保険担当課(室)
各 介 護 保 険 関 係 団 体 御 中
← 厚生労働省 老健局 老人保健課
今回の内容
介護保険の地域支援事業における
在宅医療・介護連携推進事業の手引きについて
計47枚(本紙を除く)
老老発1025第1号 平成29年10月25日 都道府県
各 指定都市 介護保険主管部(局)長 殿 中 核 市
厚生労働省老健局老人保健課長 ( 公 印 省 略 )
介護保険の地域支援事業における在宅医療・介護連携推進事業の手引きについて
平成 27 年3月 31 日付け老老発 0331 第 5 号厚生労働省老健局老人保健課長通知によ りお示ししてきた標記の手引きについて、今般、別紙のとおり改訂したところであるの で、御了知の上、管内各市町村に周知を図るとともに、実施の参考にされたい。
在宅医療・介護連携推進事業の手引き
Ver.2
厚生労働省
老健局老人保健課
平成29年10月
目 次
一 在宅医療・介護連携推進事業の基本的な考え方 ··· 1
(1)事業の背景および改訂の趣旨 ··· 1 (2)事業の進め方 ··· 4・進め方のイメージ
・在宅医療・介護連携推進事業のPDCAサイクル ・在宅医療・介護連携推進事業における評価指標の考え方
二 在宅医療・介護連携推進事業の具体的取組について ···· 13
(ア)地域の医療・介護の資源の把握 ··· 15
(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討 ··· 19
(ウ)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進 ··· 21
(エ)医療・介護関係者の情報共有の支援 ··· 24
(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援 ··· 27
(カ)医療・介護関係者の研修 ··· 29
(キ)地域住民への普及啓発 ··· 34
(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携 ··· 36
三 在宅医療・介護連携推進事業の実施に当たっての留意事項
··· 38
1
一 在宅医療・介護連携推進事業の基本的な考え方
(1)事業の背景および改訂の趣旨【事業の背景】
○ 高齢者は加齢に伴い、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病にかかりやすい、要介
護の発生率が高い、認知症の発生率が高い等の特徴を有しており、医療と介護の両方を
必要とすることが多い。
○ いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を目処に、医療と介護の両方を必
要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続け
ることができるよう、地域の医療・介護の関係団体が連携して、包括的かつ継続的な在
宅医療と介護を一体的に提供するために必要な支援を行うことが求められる。
図1:在宅医療・介護連携の推進
○ このため、医療・介護の関係団体が連携し、多職種協働により在宅医療・介護を一体
的に提供できる体制を構築するため、都道府県や保健所の支援の下、市区町村が中心と
なって、地域の郡市区医師会等と緊密に連携しながら、地域の関係団体の連携体制を構
2
図2:在宅医療・介護連携推進事業
○ 在宅医療と介護の連携については、従来から問われ続けてきた重要課題の一つである
が、それぞれを支える保険制度が異なることなどにより、多職種間の相互の理解や情報
の共有が十分にできていないことなど、必ずしも円滑に連携がなされていないという課
題があった。
○ このような背景の下、在宅医療と介護を一体的に提供するために必要な支援について
は、これまで、厚生労働省在宅医療連携拠点事業委託費を活用した在宅医療連携拠点事
業(平成23・24年度)、地域医療再生臨時特例交付金を活用した在宅医療連携推進事
業(平成25年度~平成27年度)において実施されてきたところである。これらの成
果を踏まえ、平成26年介護保険法改正により市区町村が実施する地域支援事業の包括
的支援事業における在宅医療・介護連携推進事業として位置づけ、全国的に取り組むこ
ととなった(平成27年度~)。
○ 本事業は図2の記載にある(ア)から(ク)の8つ事業項目で構成されている。
○ 本事業では、平成27年度以降取組が開始され、平成30年4月にはすべての市区町
3
○ 市区町村は、本事業の8つの事業項目を活用し、地域の実情に応じた在宅医療と介護
の連携体制の構築、充実を図っていくことが期待される。
【手引き改訂の趣旨】
○ 平成 27 年度から開始できる市区町村は順次、(ア)~(ク)の事業項目が開始してき
たところだが、より地域の実情にあった在宅医療と介護の連携の推進のためには、市区
町村は、地域の課題を把握・分析した上で課題解決に資する対応策を実施することが望
まれる。
○ 同様の理由から、都道府県による市区町村支援、具体的には、当該市区町村に関する
在宅医療や介護資源のデータ等の提供、事業に関する研修・情報提供、郡市区医師会等
関係団体との調整や広域的な医療介護連携に関する協議などの支援が期待されている。
○ 厚生労働省が設置する社会保障審議会介護保険部会では本事業について、下記の事項
が実施されることが適当との意見※があり、これらの趣旨を踏まえ手引きの改訂を行うこ
ととした。
・ 地域の医療介護連携の実態把握、課題の検討、課題に応じた施策立案に至る方法につ
いての具体化
・ 市区町村では取組が困難な医療介護に関するデータの収集分析、在宅医療にかかる体
制整備、広域的な入退院時の連携等、都道府県が実施すべき市区町村支援の取組につい
て、地域の医療に精通した郡市区医師会等との連携や保健所の活用により市区町村支援
の充実
・ 都道府県が策定する介護保険事業支援計画に、在宅医療・介護連携推進事業に対して
都道府県の介護部局及び医療部局の双方が市区町村支援に取り組むこととするとともに、
住宅部局をはじめとした関係部局との連携を進めていくことが重要
・ 在宅医療・介護連携の推進に有効と考えられる市区町村や都道府県の取り組みに関す
る情報提供
※「介護保険制度の見直しに関する意見」(平成 28 年 12 月 9 日社会保障審議会介護保険部会)P21
○ なお、各地域での在宅医療・介護連携の推進に係る(ア)から(ク)についての先進
的な取組事例、実施体制や予算、取組のポイント等については、下記の調査研究事業を
参考にしていただきたい。
URL:http://www.nri.com/jp/opinion/r_report/pdf/201502_report_1.pdf
「地域包括ケアシステム構築に向けた在宅医療・介護連携の推進における、実践的な市区
町村支援ツールの作成に関する調査研究事業」(平成26年度厚生労働省老人保健健康増進
4 (2)事業の進め方
【進め方のイメージ】
○ 在宅医療・介護連携推進事業の8つの事業項目は、住民に在宅医療サービスと介護サ
ービスを一体的に提供するための、地域における在宅医療と介護の連携体制を構築する
手段である。
○ 地域の実情に合わせた在宅医療と介護の連携体制を構築し、維持、充実していくため
には、地域の医療介護連携の実態把握、課題の検討、課題に応じた施策立案、実施に至
る過程を意識して取り組むことが重要である。
図3:在宅医療・介護連携推進事業の8つの事業項目の進め方のイメージ
富士通総研「地域の実情に応じた在宅医療・介護連携を推進するための多職種研修プログラムによる調査研究事業」報
告書を一部改変(平成 27 年度老人保健健康増進等事業)
○ 各地域における医療・介護提供体制のあるべき姿(目標)や進め方の全体像を医療・
介護の関係者と共有した上で、各取組を一体的に行うことが重要である。
○ 本事業の8つの事業項目の取組順序としては、まずは「(ア)地域の医療・介護の資源
の把握」により地域の実態を把握し、「(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策
の検討」で地域の医療・介護関係者と実態の共有、課題の抽出、対応策の検討を実施し、
(ウ)から(ク)の事業項目を活用して実施することが効果的な事業の進め方として考
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○ また、「(カ)医療・介護関係者の研修」については、医療・介護に従事する人材の育
成・教育の効果にとどまらず、「顔の見える関係」等の医療・介護の関係者のネットワー